2011年10月5日水曜日

「韃靼の馬」

 単行本として630ページ近くある歴史小説で、日経新聞に2年近く連載されていたらしい。先週ようやく完読したが、日本と朝鮮半島、そして中国大陸を舞台にした壮大なスケールでぐいぐい引きずりこんでくれた。
 江戸時代の「朝鮮通信使」は史実を丹念に描きながら、当時の朝・日の人的交流、外交的駆け引きなどの裏舞台にどのような人間模様があったのか、そして侵略によって傷ついた民心、朝鮮人が日本人となり、また日本人が朝鮮人となりながらも志をもって生きていく誇り高い人々の姿が感動的である。
 アイデンティティは自己を縛り、そしてエクスタシーは自己を開放するという鷲田元阪大総長の言葉がふと浮かび上がった。

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