2011年10月6日木曜日

エクスタシーとアイデンティティ

 「自己に固執するアイデンティティと自己をなくすエクスタシー。これを繰り返すことで人は生きている気がします」ということを人間そっくりのロボット(アンドロイド)研究の世界的的工学者である石黒浩氏が元阪大総長との対談で述べていたのが印象的である。
 自分は何者であるか突き詰めて考えぬくアイデンティティと、自分を自分でなくすエクスタシーの相関関係をこの二人が「生きるって何やろか?」(毎日新聞社)と語っているのだが、「目から鱗」的な内容が満載である。
 日本国籍だが両親は日本と韓国、両親とも韓国だが国籍は日本、朝鮮半島とはまったく縁のない日本国籍等、生徒たちのアイデンティティを複合的にどうとらえ、そして向き合っていくのかという問題に日々ぶつかる教育現場だけに、この本は参考になった。
 この二つのキィワードを読み解いていくと結局「人間とは何やろか?」というところにたどり着く。
 簡単に言うとそのヒントらしきものが冒頭の石黒氏の表現になるのだが、ロボットを通じた人間洞察の鋭さに舌を巻いた。

  

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