2011年6月15日水曜日

先輩の闘病生活

 東京時代にお世話になった先輩宅へお見舞いに行った。
 すぐに肉筆のメッセージを手渡された。そこには「この間の苦労になんら手助けできず申し訳ない」と書かれていた。
 5年前からいわゆる「筋委縮症」との闘病生活を続けている。歩行器がなければ歩けず、また言葉も発することができない。 しかし、まだ力が入る右手で花の絵を3年近く書き続けている。
 そのスケッチブックだけでも7冊ほどあった。
 Iパッドに過去の写真を整理していて、震えがちな指で20年前に私と一緒に写った一枚を指し示した。
 帰り際差し出された右手をみたら、小指の爪だけ伸ばしていた。「先輩、その小指は昔のままじゃないですか」といったら満面に笑顔をたたえていた。私は先輩を強く抱きしめ、「今度は私がもっている昔の写真を整理して、また来ます」と伝えた。
 帰りながら涙が止まらなかったが、悲しさではなくて、難病に侵されながらも懸命に生き抜いている姿に素直に感動したからであり、そして昔も今も変わらぬ先輩の生きざまに心を揺さぶられたからである。
 上の花言葉は「困難に打ち克つ」である。
 
 

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